子どもたちがのびのびと過ごせる居場所「子ども寺子屋カフェ」~4月17日レポート~
更新日:2024年4月17日
こんにちは、キミママレポーターです。
宗像に住み始めて2年半が経ち、実感するのは他の自治体と比較しても、宗像市は子育て支援の団体やイベントがとても充実しているということ。
今回は、そんな子育て支援グループの一つ「子ども寺子屋カフェ」の取り組みと活動の様子を紹介します。
デンマークのワークショップが特徴!「子ども寺子屋カフェを運営する会」
「子ども寺子屋カフェを運営する会」は、2017年に代表の清水満さんが中心となって設立した子ども育成支援グループ。
非営利の民間団体で、「グリーンコープ生協ふくおか福祉活動組合員基金」の助成金や「ファミリーマート&むすびえ助成事業」の子ども食堂助成金などを利用して運営しています。
主な活動は、毎月第2日曜日に開催する「子ども寺子屋カフェ」と、毎月最終日曜日の子ども食堂「家族ダイニング・さんさん」。
寺子屋カフェでは大学生や社会人、シニア世代のボランティアが、子どもたちの学習支援やワークショップなどを実施。
子ども食堂では「とれとれプラザ かのこの里」などから食材の提供を受け、親子で料理体験をしたり、食事を楽しんだり、参加するメンバー同士で交流を深めています。
活動を始めたきっかけ
かつて哲学を学ぶためドイツに留学していた清水さんは、デンマークで「フォルケホイスコーレ」という教育に出会いました。
聞きなじみがないという方も多いと思いますが、これは18歳以上の若者たちが共同生活を送りながら、自由に学びを追求する北欧の教育スタイル。国籍や年齢、性別を問わない外国人向けのコースもあります。
このような教育を受けたデンマークの人たちは、市民活動に熱心だったり、政治に積極的だったり、社会活動への意識の違いを目の当たりにしました。
教育の重要性を強く感じた清水さんは、デンマークのワークショップを取り入れた育成支援を実践しようと活動を始めたそうです。
子ども寺子屋カフェのイメージ
子ども寺子屋カフェのイメージもデンマークを意識して、魔女のフレイアと黒猫のチューラがシンボルです。
デンマークで子どもたちに愛されている存在で、子どものお祭りでは必ず登場します。
子ども寺子屋カフェ代表の清水満さん
博士(学術)、日本グルントヴィ協会幹事、北九州市立大学・筑紫女学園大学・九州歯科大学非常勤講師。専門は社会哲学で、教育、福祉、医療に関するさまざまな社会の問題を分析し、解決に当事者たちと取り組む。2017年、デンマークのワークショップを取り入れた「子ども寺子屋カフェ」をスタート。
「フォルケホイスコーレ」についての著書の執筆や翻訳もされています
『生のための学校』
デンマークで生まれたフリースクール「フォルケホイスコーレ」の世界
著:清水満/出版:新評論
『「共感する心、表現する身体」美的経験を大切に』
デンマークのオルタナティブ教育の創始者
- 著:清水満/出版:新評論
『コルの「子どもの学校論」』
- 著:クリステン・コル/訳:清水満/出版:新評論
年齢・性別の垣根を越えた運営スタッフ!市ボランティアシステムからも参加OK
令和6年2月11日に行われた子ども寺子屋カフェの様子を実際に見学させていただきました。
2月はデンマークの伝統的なお祭り「ファステラウン」のワークショップを行う特別バージョン。
どんなお祭りなのか楽しみです!
訪れたのは田久にある⺠家。ここを所有者の厚意で会場として使わせてもらっているそう。
開始時間より早めに伺うと、運営スタッフのみなさんが準備を始めていました。
この日は代表の清水さんをはじめ、副代表に学生・市民ボランティアスタッフまですべてが男性!
子育てのイベントというと女性中心という印象があったため、とても新鮮でした。
年齢や性別に関わらず、みんなで子育てを支援したいという姿勢がとても素晴らしいですよね。
大学生ボランティアからは、「子どもたちとの接し方など、座学では学べない生きたスキルや経験を得ることができています」とボランティアをする側の魅力も教えていただきました。
宗像市のボランティアシステムを利用して参加しているスタッフもいました。
このシステムは昨年9月から運用が始まったサービスで、ボランティアを依頼する団体とボランティアをしたい人を直接つなぐマッチングサイトのようなものです。
パソコンやスマートフォンで気軽に検索し、申し込めるというのがメリット!
サイトで最新の情報が見られるから、私も空いた時間を使ってぜひボランティアに挑戦してみたいと思いました。
2月11日行われた子ども寺子屋カフェの運営スタッフのみなさん
募集中のボランティアが一覧になって紹介されています。
やってみたいものや自分のスケジュールなどと照らし合わせながら、オンラインで申し込むことができて便利です。
宗像市ボランティアシステムサイト
スマートフォン用のサイトもあります
宗像市のボランティアシステムを利用して参加した松田次生さん
民生委員の活動をしながら、子育て支援にも積極的に取り組まれています。
ボランティア活動を通して、子どもたちからたくさんの元気をもらっているそうです
ギターの弾き語りでスタート!40分間の学習時間で学びを楽しむ子どたち
準備が整ったところで、子どもたちが続々とやってきて、11人の子どもたちと保護者2人が参加しました。
まずはオープニングイベント。毎回、副代表の荒川さんによるギターの弾き語りでスタートします。
この日は「ファステラウン」のお祭りバージョン「走れ正直者」を披露。
荒川さんの伸びやかな歌声に合わせて、大人も子どももみんなで歌を楽しみました!
荒川さんの歌からスタートします
続いて、学習の時間。40分間、持参した宿題や問題集に集中して取り組みます。
分からないことや苦手なところは、スタッフの皆さんがしっかりサポートしてくれます。
問題を解くヒントを教えてもらったり、子どもたち同士で学びあったり、みんな自由に学習しているのが印象的。
「学習」「勉強」というと堅苦しいイメージもありますが、寺子屋カフェでは学ぶことをとても楽しんでいるように見えました。
清水さんが大切にしているデンマークの教育スタイルを垣間見た場面です。
市民ボランティアが優しく学習をサポートしてくれます
福岡教育大の学生ボランティアと子どもたち。分からないところを質問中
未就学の子どもたちは絵本を楽しんでいました
悪霊退治に大興奮!子どもたちの元気でやっつけました!
学習が終わったところで、いよいよファステラウンのイベントタイム!
ファステラウンの由来について説明があると、次は「ファステラウンの歌」を歌います。
初めて耳にする音楽でしたが、日本の童謡のように分かりやすいフレーズ。
思い思いに仮装した子どもたちが、清水さんのお手本にならって歌いました。
続いては「悪霊退治」。悪霊に扮するスタッフを、子どもたちが退治するというもの。
子どもたちには一つずつ鈴が配られ、鈴がなっている間、悪霊は動けなくなります。
しかし、時間が経つと鈴の効果は切れ、悪霊が動き出してしまいます!
子どもたちが制限時間内に悪霊に捕まらなければ、退治できるというわけです。
悪霊に扮するスタッフの迫真の演技に、思わず泣き出してしまう小さな子も!
一方で小学生の子どもたちは瞬発力と持久力を活かし、悪霊と激戦を繰り広げ大興奮!
最後は子どもたちの元気が悪霊を圧倒し、無事に退治することができたようです。
仮装してファステラウンの歌を歌いました
悪霊登場!子どもたちも大盛り上がり
迫真の演技に思わず泣きだす子も
鈴の効力が切れました!悪霊に捕まらないように逃げないと!
子どもたちと悪霊の真剣勝負!
ボラー(パン)食い競争に続き樽割り。盛り上がりも最高潮!
続いては、ファステラウンのイベントには欠かせない「ボラー」というデンマークのパンをゲットする「パン食い競争」。
この日はボラーの代わりに、チョココロネが吊り下げられていました。
初めてチャレンジするという子も多く、ゆらゆらと揺れるパンは思った以上に取りにくい様子。
試行錯誤しながらも、なんとかボラーをゲットすることができました!
手は使わないで上手にボラーがとれるかな?
お兄さん・お姉さんチームは高さも上がり難易度アップ!
最後はお待ちかね!メインイベントの樽割です。
仮装した子どもたちが、お菓子の入った樽をかわるがわる協力して叩きます。
樽が割れて、中に入ったお菓子が出てくれば終了です。
もともとファステラウンは魔女狩りに起源があり、かつては樽の中に魔女の使いである黒猫を入れていたんだとか。
もちろん今は本物の黒猫を入れることはなく、代わりに樽の表面に黒猫のイラストを描いて行われています。
子どもたちが仮装を楽しんだり、お菓子をもらったり、どこかハロウィーンにも似ていますよね。
寺子屋カフェでは子どもたちが安全に楽しく樽割ができるように、ダンボール製の樽とプラスチックのバットを用意。
順番にバットで樽を叩いていきます。力の限り一生懸命叩きますが、思いのほか樽は割れません。
それでも子どもたちは粘り強く叩き続け、しまいは最年長の中学生が見事に樽をたたき割りました!
みんなで協力して勝ち得たお菓子に、子どもたちも大喜び!
ファステラウンを十分楽しんだ後は、みんなでボラーとお菓子を食べました。
ダンボールで出来た樽には猫のシールが貼られ、お菓子が入っています
一列に並んで準備万端。みんなで協力して樽を割ろう!
がんばれ!がんばれ!
割れたー!!!最後は中学生のお兄さんがパワーを見せました
ゲットしたボラーとお菓子はおいしくいただきました
「子ども寺子屋カフェ」「家族ダイニング・さんさん」の問い合わせ先
- 電話番号(代表・清水満さん):070-1374-8968
- メール:mann@asahi.email.ne.jp
- フェイスブック(外部サイト)
取材を終えて
子どもたちがのびのびと過ごし、心から楽しそうにしているのが何よりも印象に残りました。
清水さんをはじめスタッフのみなさんが子どもたちと真剣に向き合い楽しむ姿勢が、しっかりと子どもたちに伝わっているのだと思います。
また、他校の子どもたちが集い、学校以外のコミュニティができるのも魅力だと感じます。
居場所を必要としている子どもたちや保護者へ、もっともっと活動の輪が広がっていくとよいなと思いました。
ぜひ次回は、私の子どもたちも参加させたいです!
(表記はレポーターの表現を優先しています)
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