生きることについて学ぼう。NPO法人Coco音 in 自由ヶ丘中学校~4月18日レポート~ 最終更新日:2026年4月17日 (ID:9708) 印刷 こんにちは、三毛猫ママレポーターです。突然ですが、皆さんは「がん」についてどの程度知っていますか?福岡県では「福岡県がん教育推進事業」として、がんについての正しい知識の理解とともに、生きることや命の大切さを主体的に考える力を育てるため、子どもたちに特別授業が行われています。令和8年1月21日には、自由ヶ丘中学校7・8年生を対象に、NPO法人Coco音(ここっと)さんを講師に招き、「がん経験者の体験を聞く、生きることの授業」を実施。取材に行ってきました!NPO 法人Coco 音とは?NPO法人Coco音は、福岡県で「がん」と難病の当事者によるがん教育「生きることの授業」を展開している団体です。令和元年6月に誕生し、同年10月にNPO法人としてスタート。福岡を拠点に対面はもちろん、コロナ禍で普及したオンラインでの授業を行い、現在までに25,000人以上の子どもたちの生きる力を育んでいます。団体のロゴ団体名の由来今回、授業をしてくださるのは団体の代表理事を務めている山本美裕紀さん。今までにたくさんの小・中学校を訪れていますが、宗像市での講演は初めてとのこと。左から代表理事の山本さんと事務局長の永松さん体育館に集まった生徒たちは、保健の授業でがんについて学び、事前にアンケートにも回答して授業に臨んでいるようです。「今日の山本さんの授業を見て、聴いて、心で感じてほしい」という体育の森先生の言葉に、生徒たちも姿勢を正し、生きることの授業が始まりました。体育館で行われました生きることの授業、スタート!今回の授業では、がんと難病についてのお話が聞けました。がんについて事前に生徒たちに行われたアンケートでは、「がん患者が身近にいる?」という問いに、3人に1人が「いる」と答えてくれました。2人に1人が、生涯でがんにかかるといわれている現代。まだ中学生ですが、思った以上に多くの子どもたちが、がん患者に接する機会があることに驚きました。身近にがん患者がいる生徒に「聴いていて辛い時は無理をしないでね」と配慮がされていました授業では、がんになりやすい部位やがんのしくみ、治療法についての説明がされました。大切なこととして、がん発症のほとんどは原因不明であるということ。そのため、がんにかかっても「自分の生活習慣が悪かったからじゃないか?」「生まれた家系が悪いんじゃないか?」などと、いたずらに自分や他人を責めないでほしい、と話してくれました。また、現在は初期段階で見つかったがんは、治療により高確率で治るとのこと。そのため、「早期発見のためにも検診をきちんと受ける」。そして、がんにならないために、「バランスの取れた食事や運動」とともに、「いっぱい遊び、食べて寝て、たくさん笑うこと」が大切だと教えてくれました。難病について難病とは、簡単にいうと原因も治す方法も分からない、かかる人が少ない病気のことで、令和7年4月の時点で348疾病、患者数は約110万人といわれています。山本さんは、小学6年生で難病の一つであるクローン病を発症した、団体理事の山田貴代加さんの話をしてくれました。クローン病は主に腸の粘膜に炎症が現れ、腹痛や血便(血が混ざった便)、下痢などの症状が現れる難病です。10~20歳代と若いうちに発症するケースが多く、山田さんは小学6年生の時に発症したため、学校や修学旅行にも行けませんでした。当時、友達が「頑張れ!」と励ましてくれたそうですが、どんなに頑張ってもお腹が痛むし、食べられない。「頑張ったって、どうにもならない事ばかりなのに、それでも私に頑張れと言うのか…」と、友達から「頑張れ」と言われるのが大嫌いだったそう。そんな山田さんが大人になってお子さんを出産。自分が頑張らないと1人では生きていけない我が子を前に、「頑張ってもどうにもならないことはあるが、誰かのためになら頑張れる…!」と考えるように。そして、「誰かのために頑張る」その時に力を残すため、「明日できることは今日しない」と山本さんに話してくれたそうです。山田さんの言葉に、「一日一日一生懸命、悔いなく生きる」ことを今まで伝えてきた山本さんは大きな衝撃を受けたといいます。そして、より広い視野で「生きること」を伝えていかなければ、と考えるようになったそうです。「毎日一生懸命生きよう、と言われがちだけど、学生の頃は勉強に部活、友達関係と、とにかく大変」「心も身体も、疲れてしまった時は休んでいい。いざという時に大きな力が出せるよう、時にはセーブして生きていいんです」と優しくみんなに教えてくれました。山田さんが6年生の時に書いた詩病気からもらったプレゼント授業している山本さんも、実はがん経験者。病気から「いのちの大切さ」「自分らしく生きること」「感謝の気持ち」という贈り物をもらったといいます。看護学校在学中に口腔がんを発症した山本さん。手術後は食べれず、話せず、生きるのが本当に辛かったそうですが、「リハビリして食べれるようになったら一緒にプリンを食べよう!」というお医者さんの言葉が生きる目標に。入院生活中に優しく支えてくれる看護師さんを見て、「自分もこんな看護師になりたい」と夢を持つようになったそう。そんな山本さんですが、辛い治療を終え復学した後、今度は原因不明の難聴で両耳とも聴こえなくなってしまいます。あまりに辛い現実に希望をなくしかけた時、支えてくれたのは、耳の聴こえない山本さんの代わりに授業のノートをとってくれたり、筆談で会話してくれたりする友達でした。そして「がんの私」ではなく「私」として、いつも通りに接してくれる家族に支えられ、2年遅くなってしまいましたが見事、看護師になるという夢を叶えました。ご自身の経験から、「いのちは自分だけのものじゃない」と思えるようになったという山本さん。「みんなのいのちも同じ。みんなを大切に思っている人がいる」「例え時間がかかっても、夢を諦めず、自分らしく夢に向かって生きてほしい」「頑張れない時には周りの人に助けてもらい、支えてくれるみんなへの感謝の気持ちを忘れないでほしい」と語ってくれました。がんと難病とは最後に、山本さんはがんや難病の患者さんたちの気持ちについて触れました。「いろんな考え方があると思うが、がんや難病の患者の多くは特別扱いされたいわけではなく、今まで通りに接してほしいと考えている」「まずは病気のこと、その人のことを正しく知ってほしい。正しい知識を持って、がんや難病の患者たちを特別扱いするわけでなく『一緒に頑張ろう』と声をかけてほしい」授業が終わると、会場からは大きな拍手が。森先生からは、生徒たちに「山本さんは自分が患者だった頃に看護師さんに支えてもらい、現在は看護師として患者さんを支え、周りの人に感謝の気持ちを返しています。みんなも支えてくれる周りの人たちに感謝して、これからの学校生活を送ってほしい」とエールが送られました。あとでお話しを聞くと、森先生のお父さんも実はALS (筋萎縮性側索硬化症)という難病の患者さんだったとか。今回の生きることの授業が、生徒たちの心に届いてほしいと思う気持ちはひとしおだったことでしょう。ノートを手に話を聴く生徒たち「健康のありがたさ、家族や友達の大切さを学びました」と感謝の言葉が送られました「自由ヶ丘中学校の生徒は講演中も目が合ったり、リアクションをしてくれて、真剣に話を聞いてくれているのがよくわかった」と授業後に話してくれた山本さん。「人それぞれペースは違うけれど、ゆっくりと自分のペースで生きることが大事だと伝わったら嬉しいです」と笑顔を見せてくれました。心温まるCoco音のポストカード生きることの授業を聴いて、山本さんの言葉からは実際のがん体験者だからこそ伝わる言葉の厚みが感じられ、どの話も胸に響くものがありました。今回の授業で、いのちの素晴らしさや支えてくれる人の大切さを学び、ひと回り大きく成長した生徒たち。今後のますますの活躍に期待したいと思います!NPO法人Coco音ホームページ(外部リンク)(表記はレポーターの表現を優先しています)