「医療型特定短期入所 小さなあしあと」~9月30日レポート~ 最終更新日:2025年9月25日 (ID:8886) 印刷 こんにちは、ゆうママレポーターです。突然ですが、みなさんは「レスパイト」という言葉をご存じでしょうか?レスパイトとは、介護や育児など、日常的に誰かのケアを行っている方が、一時的に休息を取れるよう支援することを指します。今回紹介させていただく「医療型特定短期入所 小さなあしあと」は、重度の障がいをお持ちの方のレスパイトを第一目的に、医師・看護師・リハビリ・保育士などが利用者が安心してすごせるようサポートしている日中お預かり施設です。福岡市や北九州市には、重度の障がいをお持ちの方の日中お預かり施設がありますが、宗像市では「小さなあしあと」が唯一の施設です。今回は、その「小さなあしあと」を取材させていただきました。「医療型特定短期入所 小さなあしあと」とは小さなあしあとは、医療法人やまとコールメディカル福岡が運営する医療型特定短期入所。重度の障がいをお持ちの方の日中お預かり施設です。医療法人やまとコールメディカル福岡は、2012年救急医である岩野医師が、「医療従事者としてできることはなにか、医療とはなにか」という問いに対し、目的や信念をぶらさずに地域で一番寄り添えるクリニックを目指し開設されました。宗像市、福津市、岡垣町にお住まいの赤ちゃんからお年寄りまで、すべての方が住み慣れたご自宅でできるだけ最期まで「その人らしく」過ごせるように、「高齢者医療」「障がい児医療」「緩和治療」の3つの柱を軸に活動されています。小さなあしあと内の様子設立への思い医療的ケア児者に対する福祉やサービスなどの支援には地域差があり、宗像市には、人工呼吸器等のついた医療的ケア児者が利用可能な通所施設・短期入所施設がありませんでした。そのため、親御さんたちは自分で福岡市や北九州市など遠方の病院や施設を探し、予約して利用するしかありませんでした。しかし、施設自体が少ないため、予約競争率も高く、急な利用はほぼできず、決まった日時に預けることもできないことから親御さんたちの負担が大きく就労も難しいという状況がありました。この現状を知った同法人理事長の岩野医師がスタッフと協力し、約1年の準備期間を経て、レスパイトを第一の目的とした施設「小さなあしあと」を開設しました。「小さなあしあと」という名前は、利用する子どもたちが小さな一歩から日々新しい経験を積んで、少しずつ成長していくようにという思いが込められています。利用者の日中の様子利用者の日中の様子本施設の特徴診療所併設なので緊急時も適切な対応が可能医療機関に併設する本施設は、リスクの高い重度の障がい症児者の方も安心して利用できるような体制を整えています。何かあればすぐに医師が駆け付けることができる環境で、1日の利用者が平均6人に対して、看護師も6人いるため、緊急時もすぐに対応可能なことが強みです。ケアを担うご家族やスタッフも安心して子どもたちの成長を一緒に見守れる体制です。在宅医や病院との連携で専門的な対応が可能基幹病院の小児科医や地域のかかりつけ医など、複数の医師や各医療従事者と連携をとり、専門的かつ迅速に対応できる体制にしています。スタッフと利用者の支援体制看護師さん6人のうち、助産師資格や栄養の知識を持つスタッフも在籍しています。ほかにも療育を担当する保育士や、日常を担当する生活支援員など、各分野の専門スタッフが連携し、利用者をサポートしています。スタッフのみなさん。施設内は明るく和やかな雰囲気でした左から事務長の中村さん、看護師の城戸さん現在の利用者様は、最年少が2歳、最年長が35歳と幅広く、計13人が登録し、1日あたり平均6人が利用。一日の流れはご家庭での過ごし方に近づけるよう配慮されており、個々の生活リズムに合わせてケアが行われています。主な流れは以下の通りです。例:送迎→入浴→食事→療育→排泄ケア→排痰ケア→口腔ケア→その他医療行為→送迎送迎に関しては、専用の送迎車があり、移動・移乗の熟練したスキルをもったスタッフが、安全に対応します。洗身台(寝た状態で身体が洗え、浴そうにそのまま入れる台)広くて清潔感のある入浴施設 廊下には利用者様に合わせた医療器具(写真は体幹をサポートし、下肢のわずかな動きでも前進できる歩行器)療育への取り組み障がいのあるお子さんをただ預かって医療的ケアを行うだけでなく、個々の発達の状態や障がい特性に応じた発達支援を行います。それぞれのお子さんができることを増やしたり、隠れている力を引き出したりできるように様々な取り組みを行ってます。例えば、お出かけをしたり、お手紙を書いたり、ボールプールのような普段なかなか家では行うことが難しい体験をすることも目標にしています。日中の様子をご家族へお見せするお写真も撮影されています日々の療育で大切にしていること療育を安全な環境で提供することはもちろんですが、本施設では季節を感じるイベントも大切にしています。目を閉じて横になっている時間が長い利用者にとっては、今が夏なのか冬なのか、朝なのか夜なのか分からなくなります。だからこそ、季節を感じるイベントや、日々の日常でできることをとても大切に療育しているとのことでした。過去エピソードから、施設で焼肉をしたこともあったそうで、利用者様が食べられないからしないというのではなく、お肉を焼くパチパチという音、におい、周りの楽しそうな雰囲気も体験して頂きたいとのことでした。私が取材させて頂いた時には、スイカ割り体験が行われていました。とても和やかな雰囲気で利用者のお子さんもスイカ割りをする時には、スイカを真剣に見つめて取り組まれていました。療育をする時もスタッフの力で行うのではなく、利用者自身が動ける範囲を理解した上で考えながらサポートすることを大切にしているそうです。そのため、文字を書いたり制作物を作るときも、必ず利用者それぞれの個性がいつも現れるとのことです。もちろん安全には十分に配慮した上で行われています。利用者がスイカ割りをする様子。甘い香りが広がってきました割れたスイカは利用者がミキサーにかけて食べますスタッフさんたちの思い最初はこわばった表情で来所したお子さんも、日々を重ねていく中で、自然な表情になっていったり、ご家族の方たちがお子さんの成長に喜ぶ表情を見られるのが喜びに繋がるとのことでした。また、利用者には、入院をしたり、命の危機があることもあるため、日々お子さんたちが変わらずに通所してくれること、何気ない毎日が嬉しいと語ってくださいました。おわりに療育についてのお話の中で、「体験」や「日常」を大切にしているという言葉が心に残りました。スイカ割りを楽しむ明るい雰囲気もとても印象的でした。スタッフの皆さんがお子さんたち一人ひとりのことを深く理解し、それぞれに合わせた丁寧な支援をされている様子が、療育の現場や取材を通してとてもよく伝わってきました。小さなあしあとは、施設を利用するお子さんのご家族にとって必要不可欠な存在。同時に私たち宗像市民にとっても、医療を様々な方面で支えている医療法人やまとコールメディカル福岡さんは、とても心強い存在だと思いました。もし施設の利用を希望される場合は、担当の相談支援専門員または「小さなあしあと」まで、直接お問い合わせください。(表記はレポーターの表現を優先しています)