「おはなし会昔っコ」ストーリーテリング〜7月19日レポート〜 最終更新日:2025年7月19日 (ID:8632) 印刷 こんにちは。令和7年度からママパパレポーターに仲間入りした、ゆうママレポーターです。令和7年6月13日、南郷小学校で行われた「おはなし会昔っコ」のおはなし会にお邪魔し、初めて取材させていただきました。皆さんは、「ストーリーテリング」という言葉を耳にしたことがありますか?子育て中に絵本を読んであげた経験はあっても、普段からストーリーテリングを子どもへ行っている方は少ないのではないでしょうか? 私自身も、その一人でした。ストーリーテリングとは、記憶している物語を語りで伝えること。「おはなし会昔っコ」さんは、小学校や中学校など各地域で定期的に昔話のストーリーテリングを行っている団体で、他にもわらべうたや絵本の読み聞かせ、本の紹介なども手掛けるおはなし会を開催しています。ストーリーテリングの様子おはなし会昔っコとは2000年11月21日「梅田惠子と昔っコ」の名称で発足し、2006年9月に改称。現在まで、小中学校・幼稚園・地域など各地域でおはなし会を実施されています。主宰の梅田惠子さんは、令和6年度に公益財団法人伊藤忠記念財団による「子ども文庫功労賞」を受賞。この賞は、子どもの読書啓発活動に長年(20年以上)貢献した方に贈られるもので、ストーリーテリングの語り手としては梅田さんが初めての受賞者です。梅田さん(前段中央)と語り手メンバーのみなさん授業の一環としてのおはなし会南郷小学校の図工室にお邪魔すると、カーテンが閉められた落ち着いた雰囲気となっており、休憩時間に3年生たちが続々と入ってきました。教室には絵本や本が並べられ、子どもたちは真剣に本を眺めたり、友達と談笑したり、リラックスして過ごしていました。真剣に本を読む子どもたち3時間目の開始を知らせるチャイムが鳴ると、いよいよおはなし会が始まります。あいさつが終わると最初はわらべうたからスタート。「へんなひとかぞえうた」を一緒に歌い、楽しみました。わらべうたが終わると部屋が暗くなり、一本のろうそくに火が灯ると、教室は静かな落ち着いた空間へと変わります。「へんなひとかぞえうた」を一緒に歌いましたろうそくを灯してストーリテリングの始まり始まりこの日のストーリーテリング(語り)は、島根県の「わらしべ長者」、そしてオーストラリア アボリジニ・ガナイ族のお話「おおきなカエル ティダリク」の2つ。子どもたちは、物語に聞き入りながらも、笑ったり驚いたり疑問を投げかけたり様々なリアクションをしながら耳を傾けていました。語りが終わり、クラスの子一人が代表して、ろうそくを消すと再び教室が明るくなりました。次の絵本の時間では「ごじょうしゃありがとうございます」を読みました。最後に今日の語りの内容と同じ絵本の紹介や、おすすめの本の紹介がありました。語り手の方が「どのシーンの絵が見たい?」と子どもへ聞くと「うなぎが出てくるところ!」など具体的に場面を挙げ、そのシーンの絵を見て、みんなで楽しんでいました。私もその場にいて、各物語の世界にすっかり引き込まれ、あっという間の45分でした。絵本の世界に夢中になっていましたどうしておはなし会を始めたか?主宰である梅田さんは、元々は病院の精神科で看護師として働いていました。第一子が生まれた時、絵本を買おうと本屋さんに行ったものの、目の前に並んだ絵本からどれを選ぶべきか分からず、結局何も買わずに帰った経験があるそうです。看護師として医学書は読んでいたものの、「目の前の子どもに読ませる絵本を選べないのはどういうことだろう?」と自分自身に驚き、その瞬間、子どもの本や我が子について自分が何も知らないことに気づいたのだとか。そこから、絵本や子どもについて学び、理解を深めていかれました。あの時、適当に絵本を選んでいたら今の私はなかったとのこと。その後、地域文庫をつくり読み聞かせを開始され、学びを深めていく中で、ストーリーテリングの講座に出会いました。ストーリーテリングで最初に覚えたのが「かにむかし」のお話。それを先生に聞かせたら、ぜひ子どもたちに聞かせてあげてくださいと言われ、仲間を募っていき語りの会を発足していったことが、現在のおはなし会に繋がる始まりだったそうです。元々、働いていた病院の医師の中には、物語を用いて治療する医師もいたことから、物語の力を強く感じていたそう。願いは感情を動かす経験をしてもらうこと「今はスマートフォンなどインターネットが発達して便利ではあるけど、それらから得たものは頭に入っていくものであって心に入っていくものではない」と梅田さんは話します。生の人間が面と向かって語りをすることで、お行儀が良くなくても面白くなくてもいいから、感情が動いてくれる経験をしてほしい。感情を動かすことこそが今の時代において非常に大切で、そのことを大切にしながら、長い間、語りの会を実施されています。昔話は時代も民族も超えて語り継がれており、先人からのメッセージといわれています。物語を聞くことで、主人公がどんな選択をし、どんな風に困難を乗り越えていくかを学ぶことができます。物語を人から直接耳で聞くことで、自分が何者であるかを知る手助けにもなるとのことです。一度きりの人生。物語のように、自分を主人公にして、自分の人生を歩むことが一番その人らしい。「人が作ったレールの上を歩いたり流されたりするのではなく、自分の人生を歩んでほしい」との思いも語りには込められています。カミナリこぞうがふってきた草葉など小道具を使って楽しませる工夫もおはなし会に参加しておはなし会昔っコさんの語りは、大人の私も取材を忘れて聞き入ってしまうほど、物語に引き込まれました。絵や視覚的な要素がなくても、ろうそくの灯りがともった静かな教室の中で、自分の想像力を働かせながら物語を楽しむことができました。もちろん、途中で絵本の読み聞かせもあり、耳と目の両方でも楽しむことができます。梅田さんへのインタビューの中で、「人は自身の体験では限界があるから、先人の物語を耳から直接聞くことで、人として生きることは何なのかを感じてほしい」という内容のお話が特に印象に残りました。私も幼稚園年少の子どもを育てている身として、これからも絵本や物語の読み聞かせ等を通じて、子どもの想像力を育んでいきたいと思います。さいごにおはなし会昔っコさんは、宗像市の多くの小学校で語りを実施されています。小学生のお子さんをお持ちの方は、読み聞かせの後にお子さんに「どの話が印象に残った?」と聞いてみて、親子で会話を楽しむきっかけにするのも良いかもしれません。開催されていない学校や幼稚園・保育園の子どもたちがいる方は、おはなし会に依頼してみるのもよいかもしれません。また、おはなし会昔っコさんは、大人のためのおはなし会なども定期的に開催されています。語りの世界を楽しみたい方はぜひ参加してみてくださいね。おはなし会 昔っコHP(外部リンク)(表記はレポーターの表現を優先しています)