怒りと上手に付き合うヒント「アンガーマネジメント講座で学んだ、自分の心との向き合い方」~8月9日レポート~ 最終更新日:2026年8月9日 (ID:10266) 印刷 こんにちは、小野ママレポーターです。「怒ることって、悪いことだと思いますか?」そんな問いかけから始まった、2026年7月9日にメイトム宗像で開催されたアンガーマネジメント講座。当日は16名が参加し、子育て世代から年配の方まで幅広い年代の方が集まりました。託児室も用意されていたため、小さなお子さんがいる保護者も安心して受講できる環境でした。私も、中学1年生と年長児を育てる母として参加しました。「今日は怒らないようにしよう」と思っていても、「早くして!」「何回言ったら分かるの?」と、つい声が大きくなってしまうことがあります。子育てをしていると、そんな日は決して珍しくありません。「怒らない方法」ではなく、「怒りと上手に付き合う方法」が学べたら、子どもへの怒り方・言葉の選び方が変えられるかもしれない…そんな思いで講座がスタートしました。講師は臨床心理士の新開よしこさんストレスは、心のコップに少しずつたまっていく最初に印象に残ったのは、「心のコップ」の例えです。私たちの心をコップに例えると、毎日の忙しさや疲れ、人間関係などのストレスが、水のように少しずつ注がれていきます。普段は受け止められていても、水がいっぱいになるとあふれてしまう。その「あふれ」が、怒りとして表れることがあるそうです。「怒らないように頑張る」のではなく、「今、コップの水はいっぱいになっていないかな?」と、自分の心の状態に気づくことが大切なのだと学びました。怒りや不安を感じるのは、人間の脳の自然な働き講座では、人間の脳の仕組みについても教えていただきました。私たちの祖先は約30万年前、生きるか死ぬかという危険な環境で暮らしていました。そのため、人間の脳は今も「危険はないか」「拒絶されていないか」「恥をかかないか」などを無意識に判断しながら生活しているそうです。つまり、怒りや不安を感じやすいのは、自分が弱いからではなく、人間がもともと持っている働きの一つ。「またイライラしてしまった…」と自分を責めることもありましたが、この話を聞いて、「私だけじゃないんだ」と少し肩の力が抜けた気がしました。怒りを感じるのは「人間の脳の自然な働き」と話されていました怒りは、相手ではなく「自分の受け止め方」から生まれる講座では、人間には「不安・恐怖」「満足・幸福」「悲しみ・落ち込み」「怒り」という4つの基本感情があり、それらをコントロールする力を「情動知能」ということも学びました。先生は、「怒りは相手がつくるものではなく、自分の受け止め方から生まれるもの」と話されました。まずは「私は今、怒っている」と自分の感情に気づくこと。そして、「○○するべき」「○○であるべき」という自分の思い込みを少しゆるめてみること。さらに、相手を変えようとするより、自分の言葉や行動を変えていくこと。この3つのステップが、怒りと上手に付き合うためのポイントだそうです。子育てをしていると、「時間は守るべき」「一度言ったら分かってほしい」など、自分でも気づかないうちに"○○べき"が増えていることに、私自身もハッとさせられました。怒りには「前ぶれ」がある怒りは突然爆発するように見えて、実は少しずつサインが現れます。最初は、動悸がしたり、呼吸が浅くなったりするなど、身体に変化が現れます。その後、言葉がきつくなったり、身体がこわばったりし、そのまま感情が高まると威嚇や攻撃的な行動につながってしまうこともあるそうです。先生は、「できれば最初の身体の変化の段階で、『あ、今私は怒っているな』と気づいてほしい」と話されました。思い返してみると、私も子どもを強く叱ってしまう前は、呼吸が浅くなったり肩に力が入ったりしていることがあります。これからは、その小さなサインを見逃さないようにしたいと思いました。立ち止まって、呼吸を整える怒りに気づいたときの対処法として紹介されたのが、「マインドフルネス」と「STOP」です。マインドフルネスでは、呼吸だけに意識を向けます。考え事が浮かんでも、「浮かんだな」と気づき、また呼吸へ意識を戻す。それを繰り返す練習です。また、「STOP」は、S…Stop(立ち止まる)T…Take a breath and relax(深く息を吐く)O…Observe(自分の呼吸や心の状態を観察する)P…Proceed(「私は今どうしたい?」と自分に問いかける)という4つのステップで、自分の感情を落ち着かせる方法です。自分の怒りの感情に気づくことが大切です講座の最後には、参加者全員で実際に呼吸法を体験しました。「呼吸に集中するだけだから簡単かな」と思っていましたが、実際にやってみると、「今日の夕飯どうしよう」「帰ったら子どもの宿題を見なきゃ」など、次から次へと考え事が浮かんできます。呼吸だけに意識を向けることは思っていた以上に難しく、普段いかに頭の中が忙しいのかを実感しました。それでも数分後には、少し肩の力が抜けている自分に気づきました。怒りをなくすことは難しくても、まずは「今、自分はどんな気持ちなんだろう」と立ち止まって気づくこと。そのための深呼吸は、子育て中の私も今日から実践したいと思える時間でした。講師・新開よしこさんに聞きましたQ. 怒りは悪い感情なのでしょうか?A. 怒りは悪いものではありません。自分に何か問題が起きていることを知らせてくれる大切な感情です。問題なのは、暴言や暴力、ハラスメントなどの行動につながってしまうこと。感情と行動は分けて考えることが大切です。Q. 「怒りやすい社会」と言われますが、その背景には何があるのでしょうか?A. スマートフォンの普及で、人との関わり方は大きく変わりました。また、スマホの使い過ぎは、人を思いやることや物事を判断する役割を担う脳の前頭前野の発達にも影響すると言われています。便利な一方で、使い方を見直すことも大切です。Q.SNSやインターネットの普及により、人間関係や怒りの表現は変わったと感じますか。A.16歳以下のSNSを法律で規制する国が増えてきています。SNSの反応に一喜一憂することで、若者の心がどのくらい疲れるか、一日中スマホを手放せないという不自由さが人間関係や怒りに影響がないとは言えないと思います。自分と意見が違うというだけで、顔が見えない相手に簡単に怒りをぶつけることができるSNSの怖さを知る必要があると思います。映画の「トイ・ストーリー5」では、タブレットに支配されていく子どもの様子が描かれています。おもちゃなどで友達と遊びながら想像力や人を思いやる力が育まれてきた時代からの変化は否めません。Q. イライラしたときは、どうすればいいですか?A. 感情的なまま伝えるのは難しいものです。一度STOPして感情の温度を下げ、「伝えるか、今は伝えないか」を考えてみてください。反応ではなく、対応することを意識しましょう。Q. 市民の皆さんへメッセージをお願いします。A. 怒りの感情は誰にでもあるものです。まずは「怒ることもあるよね」と、自分に優しく声をかけてあげてください。そして、どんな時でも自分自身を大切にしてください。講座を終えて今回の講座を通して、「怒らない親」を目指すのではなく、「今、自分は怒っているな」と気づけることが、アンガーマネジメントの第一歩なのだと学びました。子育て中は、子どものことを優先して、自分の気持ちは後回しになりがちです。でも、自分の心に少し目を向け、立ち止まって深呼吸をする時間を持つことは、家族とのより良い関わりにつながるのかもしれません。私自身も、まずは「STOP」を思い出しながら、子どもだけでなく、自分自身にも優しく向き合っていきたいと思います。(表記はレポーターの表現を優先しています)