108 暫定アジア最古!久原Ⅰ-1号墳の鉄製輪鐙 最終更新日:2023年6月1日 (ID:10446) 印刷 久原Ⅰ-1号墳の鉄製輪鐙ユリックス内で保存されている久原古墳群。大小合わせて24基の古墳が調査され、全国の考古学者が注目する遺物が多く見つかりました。今回紹介する久原Ⅰ-1号墳(5世紀中頃)出土の鉄製輪鐙もその一つです。鐙は、騎乗時に馬から乗り降りするためのステップで、久原Ⅰ-1号墳例はT字の柄部と円形の踏み込み部をもつ鉄製輪鐙というタイプです。この頃の日本では木心輪鐙(木の芯部に鉄板を巻いたり木のみの輪鐙)が主流で、木心輪鐙だと久原Ⅰ-1号墳例より古い資料もあります。しかし、5世紀中頃以前の鉄製輪鐙に関しては、日本でも2例しかない大変貴重なものです。しかもこの鉄製輪鐙、騎馬文化の故地となった中国大陸でこれより古いものがありません。つまり、久原Ⅰ-1号墳例は日本最古級かつ暫定アジア最古級の鉄製輪鐙ということになります。では、このⅠ-1号墳の被葬者が馬に乗っていたのか。残念ながら轡など騎乗に不可欠な道具が見つかっておらず、実際に乗ったかは不明です。また、タイトルに「暫定」とあるように、今後中国などでさらに古い資料が見つかる可能性が高く、アジア最古の評価もあくまで一時のものです。とはいえ、古くから航海技術に長け、対外交渉を行ってきた宗像地域だからこそ、こうした文物を持ちえたといえます。(文化財職員・太田)
久原Ⅰ-1号墳の鉄製輪鐙ユリックス内で保存されている久原古墳群。大小合わせて24基の古墳が調査され、全国の考古学者が注目する遺物が多く見つかりました。今回紹介する久原Ⅰ-1号墳(5世紀中頃)出土の鉄製輪鐙もその一つです。鐙は、騎乗時に馬から乗り降りするためのステップで、久原Ⅰ-1号墳例はT字の柄部と円形の踏み込み部をもつ鉄製輪鐙というタイプです。この頃の日本では木心輪鐙(木の芯部に鉄板を巻いたり木のみの輪鐙)が主流で、木心輪鐙だと久原Ⅰ-1号墳例より古い資料もあります。しかし、5世紀中頃以前の鉄製輪鐙に関しては、日本でも2例しかない大変貴重なものです。しかもこの鉄製輪鐙、騎馬文化の故地となった中国大陸でこれより古いものがありません。つまり、久原Ⅰ-1号墳例は日本最古級かつ暫定アジア最古級の鉄製輪鐙ということになります。では、このⅠ-1号墳の被葬者が馬に乗っていたのか。残念ながら轡など騎乗に不可欠な道具が見つかっておらず、実際に乗ったかは不明です。また、タイトルに「暫定」とあるように、今後中国などでさらに古い資料が見つかる可能性が高く、アジア最古の評価もあくまで一時のものです。とはいえ、古くから航海技術に長け、対外交渉を行ってきた宗像地域だからこそ、こうした文物を持ちえたといえます。(文化財職員・太田)