122 古墳時代の板状鉄斧が語る宗像と金海の関係 最終更新日:2026年9月1日 (ID:10216) 印刷 久原瀧ヶ下遺跡の板状鉄斧宗像市と海を隔てた韓国金海(きめ)市は、姉妹都市協定(1992年)や博物館交流協定(2016年)を結んでいますが、両市の関係はどこまでさかのぼるのでしょうか?その答えはタイトルにある「板状鉄斧」が示してくれます。これは古墳時代前期(約1600年前)に作られた長さ32.3cmの扁平な鉄板で、片方に刃があるので一応「斧」ですが、実は鉄器をつくるための素材として、金海に存在した金官加耶国から運ばれたものです。 鉄鏃や刀子などの鉄器は大まかに①鉄鉱石などの原料を加熱・還元させて鉄塊を得て、②ここから不純物を取り除き、③②を鍛えて鉄素材(鉄鋌や板状鉄斧など)をつくる工程を経て、④最後に製品にしますが、倭では古墳時代の途中まで①~③の工程が難しく、その分、鉄を富や権力の象徴と捉える倭にとって素材の安定供給は死活問題でした。 その中で地理的にも近く良好な関係を保ち、良質な鉄資源に恵まれた金官加耶国との関係は重要で、両国間を鉄素材などさまざまな品が海を渡り、人と人をつないで良好な関係を醸成しました。一見地味な板状鉄斧は今日の宗像と金海の交流の淵源(こんげん)を示す重要な資料といえます。 さて、令和8年度は「宗像の対外交流」と題して宗像と朝鮮半島の国々の交流を辿る特別展を開催します。2026年は博物館交流締結10周年のアニバーサリー。今回紹介した板状鉄斧などを展示します。1600年ぶりに目覚めた品々をぜひ見に来てください。(文化財職員・太田)