【報告】ウニカーテンプロジェクト~海洋ごみ問題への挑戦~ 最終更新日:2026年3月31日 (ID:9891) 印刷 宗像市では、「楽しく生きる力をつける」まちづくりの実現に向け、産官学が連携して新たな価値創造を目指す「宗像市産官学共感プラットフォーム」を推進しています。本事業ではそのトライアルとして、地域資源を活用した環境課題の解決に取り組みました。事業の目的本取組は、廃棄されるウニ殻を活用した海洋ごみ回収装置「ウニカーテン」の開発を目的としています。マイクロプラスチックやゴーストギア(海に放置・投棄された漁具)、漂着ごみなどの海洋ごみ問題に対し、新たなアプローチを提示するとともに、宗像市の美しい海の保全につなげることを目指します。仮説ウニ殻が持つ以下の特性に着目し、自然の力のみで海洋ごみを捕捉できる可能性を検証しました。・棘やざらざらとした表面構造・天然素材であり環境負荷が低い点・廃棄物の再利用が可能である点これらの特性を活かすことで、潮の満ち引きにより漂う微細なごみを効率的に回収できるのではないかと仮定しました。実証内容(1)ウニ殻の保管方法の検証実用化に向け、棘を保持しつつ衛生的に保管する方法について比較検証を行いました。・冷凍:形状変化なし/磯の香り → 評価:△・水中保管:棘が脱落/腐敗臭 → 評価:×・10℃乾燥:形状変化なし/香ばしい香り → 評価:◎・常温乾燥:形状変化なし/生臭い → 評価:△検証の結果、100℃での乾燥処理が、虫の発生を防ぎつつ棘を保持できる方法として最適であることが確認されました。(2)漁港での設置実験プロトタイプを作成し、鐘崎漁港内(水深1m~3m)に設置して経過観察を実施しました。・設置1週間後:一部の棘が脱落したものの原型は維持。海藻や繊維、プラスチック片とみられる付着物を確認。・設置1か月後:殻の破損が進行。エビやカニの幼生などの生物の付着も確認され、生態系との関係性も示唆されました。(3)課題の抽出実証を通じて、以下の課題が明らかとなりました。・殻の耐久性(割れやすさ)・設置場所と潮流の影響・回収後の分別・リサイクル方法連携体制本事業は、以下の主体が連携して実施しました。株式会社サニックスホールディングスプロジェクト企画・全体統括・実証実施漁業者網・ロープの提供、設置許可、技術的助言、ウニ殻の提供宗像市・むなかた子ども大学フィールド調整、児童による取材・情報発信今後の課題と展望本事業の実用化・事業化に向けて、以下の課題への対応が必要です。・設置場所・方法の確立(難易度:大)沖合では潮流が強く、装置の流出や破損リスクが高いため、適切な固定方法の検討が必要です。・事業化・マネタイズ(難易度:大)回収物の種類・量が不均一であり、分別や再資源化の仕組みづくりが課題です。肥料化には脱塩工程も必要となります。・人件費・燃料費の確保(難易度:大)現状はボランティアに依存しており、持続可能な運営体制の構築が求められます。・回収・運用方法の改善(難易度:大)作業負担軽減のため、ビーチクリーン活動のような参加型の仕組みとして展開する可能性を検討します。まとめ本トライアルを通じて、廃棄物であるウニ殻が海洋ごみ対策に活用できる可能性が示されました。一方で、耐久性や運用面などの課題も明確となり、今後の改良の方向性が整理されました。宗像市では、引き続き産官学連携による実証を重ねながら、地域資源を活かした持続可能なまちづくりと海洋環境の保全に取り組んでまいります。