【報告】発信型ヴィラプロジェクト ~宿泊事業ポテンシャル可視化調査~ 最終更新日:2026年3月31日 (ID:9890) 印刷 宗像市では、「楽しく生きる力をつける」まちづくりの実現に向け、産官学が連携して新たな価値創造を目指す「宗像市産官学共感プラットフォーム」を推進しています。本トライアル事業では、地域資源を活かした新たな宿泊事業の可能性を探るため、ポテンシャル可視化調査を実施しました。事業の目的本事業は、KBCグループの新規事業として構想された「目的地型(ディスティネーション型)宿泊施設」の実現可能性を検証するものです。福岡市・北九州市からのアクセス性と豊富な観光資源を有する宗像市の海沿いエリアにおいて、空き地や空き家を活用し、「放送局グループならではの独自性を持った宿泊施設」の展開可能性を探りました。仮説本調査では、従来の感覚的な判断ではなく、データに基づく可視化を重視しました。観光ポテンシャルや課題を定量化・マップ化することで、宿泊事業の成功確度を高められると仮定しました。また、大規模投資に依存するのではなく、空き家活用など地域特性を活かした事業モデルが、エリア全体の価値向上につながる可能性についても検証しました。調査内容および結果(1)観光データ解析(過去3年分アンケート分析)観光客の属性・行動を分析した結果、来訪者は一貫して以下の4つのクラスターに分類されることが明らかとなりました。・クラスター1:若年層・高消費・県外・初回来訪者再訪要因は「自然景観や街並み」。消費拡大の中心ターゲット。・クラスター2:地元・日帰りリピーター安定的な来訪が見込める層であり、収益基盤として重要。・クラスター3:高満足・常連客再訪要因は「歴史・文化施設」。満足度が高く、継続的な来訪が期待できる。・クラスター4:低満足・県外客満足度改善により消費転換の余地がある層。これらを踏まえ、「クラスター1・3の消費最大化」「クラスター2の安定化」「クラスター4の満足度向上」が有効な戦略であると整理しました。(2)空間的課題分析(SNS・位置情報データ活用)・SNS分析結果投稿には「食べる」「体験する」といった行動が多く見られる一方で、「泊まる」を目的とした動詞がほとんど確認されず、宿泊目的地としての認知が低いことが明らかとなりました。・空間特性(鐘崎エリア)古い建物と新しい建物が混在し、漁港や道の駅などの人気スポットが点在しているものの、それぞれが面的につながっておらず、回遊性に課題が見られました。・時間的課題コンテンツが昼間に集中しており、朝・夕方・夜の時間帯の魅力が不足している状況が確認されました。・改善の方向性シェアサイクルやトゥクトゥク等の導入により、「ラストワンマイル」を補完し、エリア内の回遊性を高める必要性が示されました。連携体制本事業は、以下の主体がそれぞれの専門性を活かして連携し実施しました。KBC開発株式会社プロジェクト統括、新規宿泊事業構想の立案株式会社Logian観光アンケートデータの因果関係分析、ターゲット分析株式会社URBANIX都市計画・空間解析、SNS投稿分析、エリア課題の可視化実証結果と今後の方向性本調査の結果、単に景観や立地を活かした宿泊施設を整備するだけではなく、街地域全体で魅力を発信し、人を惹きつける「発信型のまちづくり」が重要であるとの結論に至りました。今後はその第一歩として、港町の特性を活かした以下の取組を検討しています。・ラジオ空間を併設した宿泊施設の開発人と人の会話や交流を楽しむ仕掛けを設け、放送局グループならではの価値を創出・まち歩きを促す仕組みづくり取材・発信機能を活かし、地域の魅力を再編集・再定義することで、来訪者が「歩きたくなる」動機を創出・「推しの地域」の形成滞在体験を通じて地域への愛着を醸成し、継続的な来訪や関係人口の創出を目指すまとめ本トライアルにより、宗像市における宿泊事業のポテンシャルと課題がデータに基づいて可視化されました。特に、「宿泊目的地としての認知不足」や「回遊性・時間帯コンテンツの課題」が明確となり、今後の事業設計に向けた重要な示唆が得られました。宗像市では、今後も産官学連携による実証を重ねながら、地域資源を活かした持続可能な観光振興と新たな価値創造に取り組んでまいります。