豊かな海を未来へつなぐ!宗像ウニプロジェクト 最終更新日:2025年12月5日 (ID:8075) 印刷 「Save the sea」を掲げる宗像市では、株式会社高田工業所、国立大学法人九州大学大学院農学研究所、宗像漁業協同組合の4者で、深刻化する「磯焼け」問題の解決と持続可能な漁業を目指しています。プロジェクトの背景九州最後の藻場の聖域と言われる宗像市。沿岸域には、水深10m未満の浅瀬海域が広がり、アラメ、カジメ類、ホンダワラ類、ワカメ等が自生し、天然ワカメは毎年皇室に献上されています。しかし、磯焼けの進行により、魚の棲み処でもある藻場が減少しています。磯焼けの原因のひとつとなっているのが、ウニによる海藻の食害です。高密度に生息するウニが海藻を食べ尽くし、子魚の棲家、魚やいかの産卵場所である藻場が減少し、ウニ自体も餌を失い身入りがほとんどなく商品価値がない状態になっています。そこで立ち上がったのが、磯焼けの原因となる対象ウニを捕獲し、陸上で養殖する「宗像ウニプロジェクト」です。海藻調査の様子ウニの食害による磯焼けした海身が入っていない空ウニウニの陸上養殖漁業者の協力を得て捕獲した、磯焼けの原因となる対象ウニを、陸上の閉鎖循環型設備でウニを育て、ブランドウニとして量産化、販売することで、販売利益を藻場再生に関する取り組みや駆除ウニの捕獲活動費に充てる正のスパイラルを目指します。また、フードロスの一環として、うどん店でだしを取り終えた昆布や、規格外の野菜などを餌として与え、資源の有効活用も図ります。ウニの餌(昆布、たけのこ、アスパラガス)3~4ヶ月蓄養したウニウニ殻の活用による藻場再生さらにウニ殻を活用して藻場再生の促進も目指しています。ウニ殻に含まれている成分が海藻の生育の促進に効果があるとされており、ウニ殻の粉末を付着させた網に海藻(アカモク)の種苗を取り付け、増殖施設として設置することで、藻場再生活動の促進につなげます。藻場増殖施設の作成これまでの活動2023年4月:令和5年度令和の里海づくりモデル事業に採択環境省が公募する、里海の多面的機能を活かして地域資源の保全と利活用(ヒト・モノ・資金など)の好循環を生み出すことを目指す「令和の里海づくり」モデル事業に採択されました。2024年4月:令和6年度令和の里海づくりモデル事業に採択環境省が公募する、里海の多面的機能を活かして地域資源の保全と利活用(ヒト・モノ・資金など)の好循環を生み出すことを目指す「令和の里海づくり」モデル事業に採択されました。2025年5月28日~6月1日:大阪・関西万博「地方創生SDGsフェス」に出展本市の世界遺産の海を守る活動が評価され、2025年日本国際博覧会(EXPO2025大阪・関西万博)の開催期間中に行われた、内閣府主催「地方創生SDGsフェス」へ出展しました。⇒ 詳細はこちら2025年10月:湖池屋SDGs劇場 サスとテナ シーズン6SDGsについて子どもから大人まで、だれもが楽しく学べるアニメーションの湖池屋SDGs劇場。シーズン6の第1話では、「宗像ウニプロジェクト」が紹介されました。⇒ 詳細はこちら環境学習の実施こうした海の保全活動を未来に繋いでいくため、「宗像ウニプロジェクト」を題材に、宗像市内の小中学生を対象とした環境教育プログラムを構築し、環境学習を実施しています。ウニの蓄養体験や海藻の増殖施設の作成体験、漁業者や海の保全活動に従事する民間事業者、行政等の担当者を講師とした内容を環境教育プログラムに取り入れることで、海の保全活動について身近に感じてもらい、理解を深めてもらっています。座学の様子ウニ割体験の様子今後の展開 蓄養ウニの量産化に取組み、ブランドウニとしての販売を進めることで、販売利益を藻場再生に関する取り組みや駆除ウニの捕獲活動費に充てるという好循環サイクルを形成し、環境保全と地域振興を両立させる、持続可能な社会に向けたモデルケースとなることを今後も目指していきます。