べじたぶる8月号「走り続けた半世紀 初心忘れず励む農業」~田中 幸人さん~ 最終更新日:2025年8月4日 (ID:8834) 印刷 田中幸人さん営農年数:54年目営農地:宗像市池田栽培品目:ビワ・米・露地野菜作付面積:約3haビワづくりに挑戦 農家の下で生まれ育った田中さんは、農業高校を卒業後、福岡県園芸試験場で2年間果樹の栽培技術を学び、20歳で就農しました。経緯について「昔は敷かれたレールに乗せられるのが普通だった。農家に生まれた以上、そこに乗るしかなかった」と話しますが、自身の力で走り続けて54年。半世紀以上にもわたって、先祖代々受け継がれてきた農地を大切に守り続けています。 現在はビワを栽培していますが、以前は年間100tものかんきつ類を出荷していました。しかし、価格の低迷や身体への負担が大きくなってきたことから、ビワへの転換を決意。「茂木」を中心に、近年人気が高まっている「なつたより」も植え、約150本の樹を管理しています。大きく育ったビワ初心を大切に 試験場では果樹全般の栽培技術を学んだものの、ビワについてはほぼ初めて。JAびわ部会に入り、部会員との交流や園地巡回などを通してイチから知識と技術を身に付けてきました。長年農業と向き合ってきた田中さんですが、「品目によって管理方法は全然違うし、それぞれ大変なことがある。天候条件も変わるから、毎年1年生」と初心を忘れません。 今年のビワの出来について尋ねると、「花は多かったけど、寒い期間が長く雨も少なかったせいか、小玉傾向。でも味は良いよ」と教えてくれました。園地には、収穫を待つビワがびっしり。田植えと重なり、1年の中でも忙しい時期ですが、約3週間という短い出荷期間に全力を注ぎます。目指すは生涯現役 部会では、作業効率化や脚立による事故防止のために低木化を進めていて、田中さんも枝に重りを下げたり、枝を少しずつ切ったりして樹高が低くなるよう工夫しています。さまざまな工夫を凝らすには情報交換が欠かせませんが、田中さんには部会のほかにも強い味方がいます。それは、試験場時代の仲間です。今でも2年に1回ほどのペースで集まり、近況報告や思い出話に花を咲かせています。 多くの仲間とともに踏ん張り、歩んできた農家としての人生。農業を続ける理由について「それしか能がないけなぁ」と笑いながらも、「先祖の土地を預かっているという想いがある」と語ります。覚悟と責任感あふれる田中さんは、これからも「元気に生涯現役」という目標に向かって走り続けていきます。関連リンクJAむなかた 月報誌「べじたぶる」バックナンバー(外部サイトにリンクします)