心のモヤモヤを気ままに話そう!日常生活にあるジェンダーバイアス~4月23日レポート~ 最終更新日:2026年4月23日 (ID:9730) 印刷 こんにちは、かえママレポーターです。昨年の夏に、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)についての講演会に参加し、自分自身や社会の中に根付いている偏見について以前よりもより深く考えるようになりました。そんな中で知った、2026年2月13日の宗像市男女共同参画推進センター「ゆい」主催「心のモヤモヤを気ままに話そう!日常生活にあるジェンダーバイアス」に参加してきました。今回の講演をしてくださった方は、臨床心理士の黒瀬まり子さんです。講師の黒瀬さん黒瀬さんは、九州産業大学・西日本工業大学の非常勤講師をされており、福岡県の性暴力対策アドバイザーも務めていらっしゃいます。この日の講座には、男女問わず幅広い年齢の方が参加されていました。ジェンダーバイアスとは?ジェンダーバイアスはアンコンシャス・バイアスの一つで、「女の子はおしとやかに育つべき」「男の人は強くたくましくあるべき」などといった性別に関する偏見や思い込みのことを指しています。こういった言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。数年前に仕事で、ジェンダーバイアスに悩み傷ついてきた当事者の方のお話を伺う機会がありました。その方が日常の会話の中で傷ついた経験を知り、私も無意識のうちに人を傷つけてきたのかもしれないと気づき、大きな衝撃を受けました。そういった無意識下の偏見に気づくにはどうすればよいのか。そのためには以下の三つの点が大切だそうです。社会的な発信から気づく権利を学ぶ自分の中に埋まっている誰かの言葉に気づく社会的な発信から気づく2026年2月より、緊急避妊薬が薬局で購入できるようになりました。このことはニュースでも大きく報じられていたので、ご存じの方が多いのではないでしょうか。薬局での購入が可能になった背景に、「#なんでないのプロジェクト」という福田和子さんが始めた活動があります。緊急避妊薬の入手が困難な日本の状況への疑問から始まった活動が、社会を変えるきっかけとなりました。こうした発信が大きな変化へとつながった例は、他にもあります。「#KuToo」という、「靴」と「苦痛」、「#MeToo」を掛け合わせた造語を用いて広がった活動です。この活動のきっかけは、石川優美さんの「なんで足をケガしながら仕事しなきゃいけないんだろう。男の人はぺたんこぐつなのに」という投稿でした。この投稿が多くの女性の共感を得て、多数の署名が厚生労働省に提出されたそうです。こうした社会的な動きを受け、足にケガや痛みを伴うヒール靴の指定を撤廃した企業もあります。緊急避妊薬の薬局での販売やヒール靴指定の撤廃についてはニュースで知っていましたが、このような社会的発信が行われていたこと、そしてその活動に共感して声をあげる人々がいることが背景にあると知り、私も積極的に知り学び、そして発信していきたいと感じました。権利を学ぶ全ての人は、生まれながらにして尊厳と権利をもっています。その権利について知ること、学ぶことも、ジェンダーバイアスに気づくきっかけとなるそうです。ここでは、黒瀬さんが紹介してくださった4つの権利について紹介します。世界人権宣言第1条 みんな仲間だ わたしたちはみな、生まれながらにして自由です。ひとりひとりがかけがえのない人間であり、その値打ちも同じです。だからたがいによく考え、助けあわねばなりません。第16条 ふたりで決める おとなになったら、だれとでも好きな人と結婚し、家庭がもてます。結婚も、家庭生活も、離婚もだれにも口出しされずに、当人同士が決めることです。家族は社会と国によって、守られます。第18条 考えるのは自由 人には、自分で自由に考える権利があります。この権利には、考えを変える自由や、ひとりで、またほかの人といっしょに考えをひろめる自由もふくまれます。アムネスティジャパンHPより引用(外部リンク)性と生殖に関する健康と権利(SRHR)「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(Sexual and Reproductive Health and Rights)(SRHR)」とは、「性と生殖に関する健康と権利」のことを指し、全ての人が性と生殖について正しく知り、自分の意志で選択・決定できる権利です。大きく分けて、セクシュアル・ヘルスリプロダクティブ・ヘルスセクシュアル・ライツリプロダクティブ・ライツがあり、一人ひとりが自分らしく生きていくために大切な考え方です。SRHRについては、宗像市のHPにも詳しく書いてありました。自分のからだのことを自分で決められるようにー3月1日から8日は女性の健康週間ー子どもの権利条約第12条 意見を表す権利:子どもは、自分に関係のあることについて自由に自分の意見を表す権利をもっています。その意見は、子どもの発達に応じて、じゅうぶん考慮されなければなりません。第17条 適切な情報の入手:子どもは、自分の成長に役立つ多くの情報を手に入れる権利を持っています。国は、本、新聞、テレビ、インターネットなどで、子どものためになる情報が多く提供されるようにすすめ、子どもによくない情報から子どもを守らなければなりません。ユニセフHPより引用(外部リンク)アサーション権「自分も相手も大切にする自己表現」という意味のアサーションに関する権利です。黒瀬さんが紹介してくださった、小柳しげ子・与語淑子・宮本恵共著/新水社「アサーティブトレーニングブック」によると、間違う権利や、ほかの人の問題に責任をとらなくてもいい権利があるとされています。子どもに対し先回りして失敗しないようにする親や、相手の怒りを自分の責任だと感じてしまう例を、黒瀬さんが分かりやすく挙げてくださいました。私も、人が怒っていたり機嫌が悪かったりすると、「自分がなんとかしなければ」と焦ってどきどきしてしまうことが昔からよくあります。「相手の怒りは相手の責任であり、「怒ってもいい」と判断して怒っているのはその人。『怒らせた』ではなく『怒った』でいい。」という黒瀬さんの言葉には、深く感銘を受けました。「そうか、私のせいではないし、私がなんとかしようとする必要はないんだ」、「人の機嫌に敏感になってしまう自分を少しずつでも変えたい」と思った瞬間でした。自分の中に埋まっている誰かの言葉に気づく人の行動や考えを縛るような言葉には、二つのタイプがあるそうです。一つは、人生の主導権を奪うドライバータイプの言葉。もう一つは自分に制限をかけるストッパータイプの言葉です。自分の中に、こうした言葉が埋まっていないか近くの席の方と交流をしました。職場でこうした言葉をかけられたことや、家族に「女の子だから家から通える大学にしなさい」と言われたことなどが話題に上がり、そういえば私も同じような経験があるなと気づきました。講座の様子境界線についてこうしたジェンダーバイアスに対し、大切な考え方が境界線(バウンダリー)。「私は私でいいんだ」と自分の安心を守る目に見えないバリアのことを指します。私は、以前参加した包括的性教育の講演会でこの言葉を知り、子育てや自分自身において、日常の中でかなり意識するようになりました。以前のレポートはこちら。子どもに伝えていますか?性のこと~よりよく生きるための「生命の安全教育・性教育」を考える~(令和8年1月8日レポート)黒瀬さんによると、幼いうちから日常の中で同意を得る場面を繰り返すことが大切で、その繰り返しが、例えば「そのおもちゃを貸して」に「いや」と言われたときに怒るのではなく「わかった」と思えるような力を育てることにつながるそうです。こうした境界線を学ぶことで、自分を守れる誰かを傷つけることを防げる自分と、そして誰かと共に幸せに生きていく力になるといいます。人が生きていく上でとても大切なものですが、今も暮らしの中には境界線の侵害が多く見受けられます。黒瀬さんの挙げた「部屋の掃除をしておいたよ」「どうして言ったとおりにしないの」「君を幸せにするよ」などといった例は、本当によく聞く言葉ですよね。参加者の皆さんの中にも「あるある」と、頷く姿が。境界線を尊重するためには、「部屋の掃除をしてもいい?」など、まずは一声かけることや同意を得ること、「あなたはあなた」という考え方が重要であるそうです。また、「いや」という言葉を受け止めることや、「いや」と言えない状況も考え相手の反応をよく見ることも大切であるそうです。参加者の方との交流では、「その人には悪気がないようだけど、自分のことについて決めつけられる場面がありいやだなと感じる」という日常でのモヤモヤしたエピソードが出ており、「私も人に対して境界線の侵害をしてしまっているかも…」という気づきがありました。こうした境界線が尊重されるには、同意(コンセント)が必要です。境界線は一人ひとり違うからこそ、言葉で確認しなければ分かりません。まずは聞くことで、相手を大切に尊重する姿勢を伝えることができるのだそうです。もしも相手に断られたとしても、怒ったり不機嫌になったりせずに、受け止める力も大事だと黒瀬さんがおっしゃっていました。では、「YES」と言わせることができたらそれは同意なのでしょうか?「YES」「…本当はNO」「迷っている」「分からない」「NO」「2」や「3」のような積極的YESでないものは「NO」だと考えるべきであるそうです。本当は断りたいけど断りづらいからYESと言ってしまった経験がある方も多いのではないでしょうか。「単純なYES/NOで答えられないようなときは、テーブルの上にのせて、お互いの考えを共有しよう」黒瀬さんは、話合いの上でちょうどいい着地点を一緒に見つけるイメージを教えてくださいました。命令や説得、力ずくなどといった態度ではなく、対話の中から考えを共有することこそが大切なのです。最後に黒瀬さんが紹介してくださった「暴力の木」。「虐待は、考え方と価値観から生じるもので…根元が所有意識で幹が特権意識で枝がコントロールという行動です」というランディ・バンクロフトさんの言葉だそうです。社会の中に広がるジェンダーに関する不平等、暴力を容認する空気をなくし、私たち一人ひとりで、この暴力の木を枯らしていくことが求められています。紹介していただいた動画と書籍黒瀬さんは、同意や境界線について知るためのおすすめの本を紹介してくださいました。おすすめの本たちこの中の一冊「子どもを守る言葉『同意』って何?」(集英社)の著者レイチェル・ブライアンさんによる動画も紹介していただいたので、ぜひチェックしてみてください。TEA CONSENT(外部リンク)性的同意について、紅茶に例えて分かりやすくシンプルに説明されており、娘が大きくなったらまた一緒に観たい動画です。CONSENT FOR KIDS(外部リンク)こちらの子ども向けの動画は、6歳の娘と一緒に観ました。娘によると、「私にはよくても、いやだなーと思う人もいるんだね」だそう。黒瀬さんの紹介してくださった本の中には、宗像市の図書館で借りて読んだことがある本もありました。皆さんも探してみてくださいね。さいごに日常でのジェンダーバイアスに関するモヤモヤを共有でき、また、同意や境界線についても深く知ることができた講座でした。私が個人的にずっと悩んできたことは、境界線に関することだったんだという気づきを得ることもでき、思わず涙を流しそうになる場面もありました。今回の講座を通して気づいたことをこれからの自分のために大切にしたいですし、自分自身だけでなく、子育てや人とのコミュニケーションの中でも意識していきたいと思います。「『自分と仲良く』をテーマにこの時間を過ごしてほしい」と講座の最初に黒瀬さんがおっしゃった言葉のように、自分の中のモヤモヤを自分でキャッチし、「自分の心も身体も自分のもの」だと意識することを忘れずにいたいです。そして、今でも暴力やその芽となるバイアスに苦しむ人が減るよう、今後もアンコンシャス・バイアスに意識を向け、学び発信していこうと思います。(表記はレポーターの表現を優先しています)