更新日:2015年3月18日
桜京古墳の特色
牟田尻にある桜京古墳の特色は、
- 前方後円墳(全長約39メートル)
- 標高約45メートルの山の尾根に立地
- 北西に開口する横穴式石室(全長約8.2メートル)
- 奥壁に石屋形風の石棚を設置
- 奥壁の腰石と石棚に連続三角文のみを赤、白、緑の3色で表現(線刻を併用)
- 時期は6世紀後半代に要約されます(下図参照)。
桜京古墳装飾実測図
発見者は、高校生!
スペインのアルタミラやフランスのラスコーの洞窟壁画は、世界遺産(文化遺産)に登録され、教科書でもすっかりおなじみです。野牛や馬などの動物が生き生きと描かれたこれらの壁画は、驚くことに、子どもたちが発見しました。
アルタミラ洞窟の「大天井画の部屋」に最初に気が付いたのは、1879年、考古学愛好家の愛娘で9歳のマリアでした。ラスコー洞窟の壁画は、1940年に、地元の4人の少年が、偶然発見しました。
何と、桜京古墳の壁画の発見者も、地元の2人の高校生でした。
昭和46年10月、宗像郡内の古墳を分布調査中の先生に引率された、東海大学付属第五高校考古学研究会の花田勝広さんと鎌田隆徳さん(いずれも当時2年生)でした。
国指定された希少な装飾古墳
牟田尻(字桜京)2019番地にあることから字名をとって名付けられた桜京古墳は、玄界灘や響灘沿岸部ではとても希少な装飾古墳として、貴重な文化財です。
その意義を重視した県教育庁文化課(当時)は、昭和49年から1年かけて、応急的に墳丘測量・石室内調査を実施。調査後は、入口部分を土のうなどで仮密閉して「立入禁止」とし、壁画の保存・劣化防止に備えました。
昭和51年には、史跡として国指定(重要文化財)されました。
発見時、桜京古墳の連続三角文を指で示す花田さん
将来の公開を楽しみに
桜京古墳は現在、公開に不可欠な保存施設や、麓から古墳までをつなぐ山路が整備されていないため、当面、外観見学のみで、石室の公開はできない現状です。
市では、今後の整備・公開について、墳丘部分を公有化するとともに、有識者による宗像市史跡整備審議会で、保護施設の構造や規模、設置位置などの検討を進めています。
また、毎年1月ごろに、東京文化財研究所の専門家の現地指導を得ながら、石室内の温湿度データの回収、カビなど有害生物の生息調査を含む壁画の保存環境を調査し、事後処置として、ホルマリン噴霧と入口閉鎖とを実施し、将来の壁画公開に備えています。
(文化財職員・石山勲)
このページに関する問い合わせ先
教育部 世界遺産課 文化財係
場所:海の道むなかた館
電話番号:0940-62-2600
ファクス番号:0940-62-2601
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